
6月7日に公開されたアニメ映画「海獣の子供」。
主題歌は人気歌手の米津玄師が担当。
原作を10代の頃に読んで以来、
その世界観の虜となったという米津玄師が、
その世界観を壊さず、活かすような作曲・作詞を手がけました。
目次
主題歌「海の幽霊」制作秘話インタビュー
音楽ニュースメディアの「音楽ナタリー」で、
「海獣の子供」の公開に先駆けてPR特集として
米津玄師の「海の幽霊」に関するインタビューが組まれています。
米津玄師と「海獣の子供」という作品との出会い
米津玄師が「海獣の子供」という作品と出会ったのは約10年前のこと。
18歳の頃に、
五十嵐大介が描く原作漫画「海獣の子供」を読んだのが始まりだそうです。
漫画を読んだ米津玄師は、
非現実的な出来事なのにリアリティがある世界観から
「未知なものに対する恐怖とか憧れ」を感じ、
「もしこのマンガの主題歌を作るんであればどういう音楽になるんだろうか」
と想像を膨らませつつ、自身もとても影響を受けたと話しています。
その頃はまだ米津玄師としてではなく、
クリエイターの「ハチ」として活動していた時期ですね。
私も大好きな代表作として
「マトリョシカ」や「パンダヒーロー」といった曲がありますが、
確かにどこか「海獣の子供」にも通じる独特の世界観がありますね。
それにしても10年前から曲の主題歌の構想をイメージしていたとは・・・
今回の曲は10年大切に育て寝かせた曲でもあるのですね!
米津玄師が「海獣の子供」主題歌の制作した時期
米津玄師が「海獣の子供」主題歌の制作したのは、
自身の初となる全国アリーナツアー「米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃」の真っ最中。
しかし、ツアーを終えた後も、
長く楽曲と向き合って仕上げたとのこと。
最初はシンプルに出来上がった曲に対して、
何度もブラッシュアップをかけて育ちあがったのが、
現在の「海の幽霊」。
米津玄師が得意とする曲はデジタルクワイアですが、
今回は世界観を考えるとオーケストラの音色が欲しいと感じたそうです。
最初はすごくシンプルな曲だったんですよ。いわゆるデジタルクワイアという、デジタルのコーラスを軸にした曲調だったんです。でも、やればやるほどオーケストラ、ストリングスの音色が鳴ってる気がして……でも、俺にはオーケストラの教養がまったくないですし、ストリングスに対する知識も何もないから、誰かに頼もうと思って、そこで同世代のオーケストレーションをメインに行っているアレンジャーと出会うことができたんです。
さすが、音楽史に残るアーティストと言われるだけあって、
物事や人の流れの引き寄せ方が半端ないですね!
歌詞に散りばめられた原作の世界観
「海の幽霊」の歌詞には、
原作の「海獣の子供」の世界観を表すモチーフやセリフが散りばめられています。
この作品自体が、生命の誕生とか、生まれ変わりみたいなニュアンスがちりばめられているマンガで、なくなってしまったものに思いを馳せることがネガティブには描かれていない。あなたはいなくなってしまったかもしれないけど、またどこかで違う形として生命の誕生が巻き起こるだろうというお話なんです。ただいなくなって寂しいという感じではなくて、すごくポジティブなイメージがあるんですよ、このマンガに対して。結果、椅子の話から生まれ変わりや目には見えなくなってしまったものに思いを馳せる曲を作ろう、と。
とことん原作の世界観と向き合い、
自分なりの解釈も交えながら、
そして今の時代や社会の本質を捉えた曲が、
今回公開された映画「海獣の子供」とどのように融和するのか、
映画を見る際の注目ポイントですね!
主題歌「海の幽霊」に対するコメント
米津玄師
原作を初めて読んだのは10代の頃だと思うのですが、そのすごさに圧倒されたことを憶えています。今読み返してもあの時の衝撃は全く古びず、更に新しい発見をもたらしてくれます。
もし映像化されるのであれば歌を作らせてほしいなあなんていうふうに思ってたことが、今日になって実現するというのはなんとも感慨深いです。
原作が持ってるものに負けないよう、それでいてうまく寄り添えるようなものが、果たして自分に作れるのかと、ここ数ヶ月は問答の日々でした。今は映画館で流れる日を楽しみにしています。
五十嵐大介
米津玄師さんと初めてお会いしたのは何年前になるでしょうか。
それからの様々な人のつながりを経て、映画「海獣の子供」の主題歌を米津さんに…という話を伺った時、来るべきものが来たような、不思議な昂揚を感じました。
心を高く深く拡げてくれつつ、同時に着地点を示してくれるような美しい歌に出会えて、今はただ感無量です。
映画作品情報
映画『海獣の子供』
公開日:2019年6月7日(金)全国ロードショー
出演:芦田愛菜、石橋陽彩、浦上晟周、森崎ウィン、稲垣吾郎、蒼井優、渡辺 徹/田中泯、富司純子
監督:渡辺歩
音楽:久石譲
主題歌:米津玄師「海の幽霊」
原作:五十嵐大介「海獣の子供」